今回紹介する漫画は【モブヘブン】1巻です!

※画像は『Amazon』より引用(©徳永 パン/KADOKAWA)
PR
感想
生前の世界で「死ぬ役割」を与えられていたモブたちが、死後の世界で「主人公」を目指すための学校に通う――そんな設定だけで一気に心を掴まれた。
ありそうでなかった切り口で、読み始めた瞬間から物語の世界観にぐっと引き込まれる。
これまで名前もなく、物語の都合で消費されていく存在だったモブたちが、自分自身の物語を求めて足掻くという構図は、どこかコミカルでありながらも、同時に切実さを孕んでいるのが印象的だ。
コミ爺さん実に面白い設定じゃ
ジャンルとしてはコメディに分類される作品で、テンポの良い掛け合いや、モブならではの自虐的なネタが随所に散りばめられていて、思わず笑ってしまう場面が多い。
しかしその一方で、ふとした瞬間に漂う不穏な空気が、この作品に独特の奥行きを与えている。
ただのギャグで終わらせない、どこか影のある雰囲気があり、「主人公になる」とはどういうことなのか、そもそもその価値は何なのかといった問いを、じわじわと読者に投げかけてくるように感じた。



校長が不穏すぎるのじゃ
そして個人的に嬉しいのが、いわゆる“百合”要素の尊さである。
キャラクター同士の距離感や関係性の描き方がとても丁寧で、さりげないやり取りの中に強い絆や特別な感情が垣間見える瞬間がたまらない。
大げさに描かれるわけではないからこそ、その一つ一つのシーンにじんわりとした尊さが滲んでいて、思わず「てぇてぇ……」と感じてしまう。



てぇてぇなのじゃ
また、登場人物が「全員モブ」という設定も面白いポイントだが、それにもかかわらず、この漫画の中にもさらに“モブ的な存在”がいるという構造が、どこか皮肉であり、同時に少し切なくもある。
モブが主人公を目指す物語の中でさえ、誰かが背景に追いやられてしまうという現実は、笑いとして描かれつつも、どこか胸に引っかかるものがある。
そのバランス感覚が絶妙で、単なる設定の面白さに留まらず、作品全体のテーマ性をより深めているように思えた。
全体として、軽やかに読めるコメディでありながら、設定や空気感の中にしっかりとした芯が通っている作品。
笑いながらも、ふと立ち止まって考えさせられる瞬間があるのが魅力で、今後物語がどう展開していくのか非常に気になる。
モブたちは本当に「主人公」になれるのか、その過程で何を得て何を失うのか――続きを追いかけたくなる一作だった。








コメント