きみと一緒に通いたい 1巻 ネタバレ・感想・レビュー・評価

かやのり
記事を書いた人
漫画2万冊を読み集めた男。
かつては紙書籍のみだったが置き場所や管理不足の問題もあり今は99%電子に移行。夢は家を漫画で埋め尽くすこと。
一番好きな漫画はONE PIECE。

今回紹介する漫画は【きみと一緒に通いたい】1巻です!

※画像は『Amazon』よりうおやま/白泉社)

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目次

感想

うおやま先生の持ち味がこれでもかと炸裂した新刊で、読み終えたあともしばらく余韻が抜けない作品だった。

軽やかでユーモラスな語り口の中に、現実の重さや痛みをしっかりと織り込むあの独特のバランスは今作でも健在で、むしろこれまで以上に研ぎ澄まされているように感じた。

コミ爺さん

うおやま先生節炸裂の1冊だったわい

物語の中心にいるのは、車いすの友達と同じ高校に通いたいという一心で、その高校にエレベーターを設置するという目標を掲げる主人公だ。

その発想は一見するとあまりにも無謀で、現実的とは言い難い。

それでも「一緒に通いたい」というシンプルでまっすぐな願いが、すべての原動力になっている点がとても良い。

理屈ではなく感情から始まる行動だからこそ、突飛でありながらも強く心を引きつけられるし、「無茶だ」と切り捨てることができない説得力がある。

むしろ、その無謀さこそがこの物語の魅力であり、読んでいて思わず応援したくなる理由になっている。

コミ爺さん

幼馴染が途中で車いすってわかる手法が使われており、先入観はよくないなと思わせる展開だった

一方で、読み進める中で何度も胸がざわつくような場面に出くわす。

いわゆる「胸糞」と感じてしまうキャラクターも登場し、その言動や態度に強いストレスを覚える瞬間も少なくない。

誰かを軽視したり、理解しようとしなかったりする姿は決してフィクションの中だけのものではなく、現実にも確かに存在するものだからこそ、読んでいてつらさが増幅されるのだと思う。

ただ、その不快さは単なる嫌悪感で終わるものではなく、作品全体のテーマを浮き彫りにするための重要な要素として機能している。

コミ爺さん

そしてまたそんなキャラクターも何かを抱えているという展開じゃ

この作品が特に印象的なのは、「平等ではない」という現実をさまざまな立場の人物を通して描いている点だ。

車いすを利用している人だけでなく、体力がない人、知的障害を抱えている人、身体が小さい人、そして女性であるという理由で制限を受ける人など、それぞれが異なる不自由さや生きづらさを抱えている。

しかも、それらは単純に「かわいそう」と一括りにできるものではなく、本人たちの中にも複雑な感情や思惑があることが丁寧に描かれている。

コミ爺さん

みなそれぞれ何かを抱えて生きておるわけじゃ

誰もが何かしらの不利を抱えながら生きていて、その中でどう折り合いをつけるのか、あるいはどう抗おうとするのか。

登場人物たちはそれぞれのやり方で現実と向き合っており、その姿はときに共感を呼び、ときに痛々しく映る。

だからこそ読んでいて苦しくなる瞬間も多いのだが、その苦しさ自体が、この作品の伝えたい核心に触れている証でもあるように感じた。

主人公の掲げる「エレベーターを作る」という目標は、単なる設備の問題ではなく、「同じ場所に立つための手段」を象徴しているのだと思う。

しかし現実はそんなに単純ではなく、誰かにとっての救いが、別の誰かにとっては別の問題を引き起こす可能性もある。

その複雑さを曖昧にせず、むしろ真正面から描いている点が、この作品の誠実さであり、読後に強く残る理由でもある。

読み終えたあと、「優しさとは何か」「平等とは何か」という問いが自然と頭に浮かぶ。

そして、その答えが簡単には出ないこともまた、この作品が示している現実なのだろう。

それでも、無謀だと笑われるような願いをまっすぐに掲げる主人公の姿は確かに希望でもあり、その眩しさが胸に残り続ける。

つらさと優しさが同時に押し寄せてくる、忘れがたい一冊だった。

評価

どんな人におすすめ?

うおやま先生の作品が好きな人

何が特に好きだった?

主人公の無謀だけど友達思いなところ

きみと一緒に通いたい 1巻
総合評価
( 3.5 )
メリット
  • うおやま先生節炸裂で様々なことを考えさせられる
  • いわゆる弱者と呼ばれる人たちの本音が聞ける
デメリット
  • 弱者に理解のないキャラが出てくる
  • 読んでて胸糞になる展開がある
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漫画2万冊を読み集めた男。
かつては紙書籍のみだったが置き場所や管理不足の問題もあり今は99%電子に移行。夢は家を漫画で埋め尽くすこと。
一番好きな漫画はONE PIECE。

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